皐月のつぶやき

緑に圧倒されている。
桜が散ったと思ったらあっという間にあちこちで新芽が出始め、
今や新芽も大きく育ちしかしまだ初々しくその柔らかさで辺り一帯を覆ってい
る。目を上げれば緑の勢いにタジタジとなってしまうほどだ。

野良猫が床下に住んでいるのだが、とうとう納戸に入り込んでお産をした母さん
がいた。子猫の声が聞こえて来たのが二日前。納戸の隣が息子の部屋で 彼が気
がついた。彼と私の休みの日が昨日だったので、納戸を探ったが、こんなに狭い
のにどこから声がするのかなかなかわからなかった。モノが詰 めっぱなしで混
乱そのもの、足の踏み場もない。モノをどけながら探した。又鳴き始めてくれて
やっと分かり、頭上の棚の上に一匹いた。息子はその生 まれたばかりの子猫を
そ~っと手に乗せた。目も半分しか開いてない。牛乳をやったが飲めない。一匹
のはずがないと思ったがやはりあと二匹いた。古 毛糸を入れてあった箱の中を
母さん猫はお産の場として選んだんだ。

だいぶ前にスタッフの一人が茶色い猫がお腹が大きいみたい、と言ってはいたの
だが毛がもこもこで私はよくわからなかった。そのもこもこの猫が最近 やたら
と家の中に入りたがっていた。それも納戸へ。家に入れたくないので窓や扉を開
け放す時期になったにも関わらず、締切にしていた。納戸で子供 を生まれたり
したらたまらない、と思っていたのだ。しかし遅かった。

だから今になってわかるのは、ここ数日彼女が必死になって家の中に入りたがっ
ていたのは既に子供がいたからなのだ。私が二階にいると二階のバルコ ニーに
座って私のほうを向いてにゃあにゃあいっていた。下の部屋に来ていると目の前
のガラスの向こうに座ってにゃあにゃあいっていた。台所にいる とドアの向こ
うでにゃあにゃあいっている、一度などはドアをガリガリ引っ掻いていた。風呂
場の窓からも侵入しようとする。居間で私が居眠りをして いた時なども侵入し
てきて目の前でにゃあにゃあいって目が覚めた私に追い出されていた。

お産の前だと思った私が判断違いだった。既に子供はそこにいたのだ。そうだよ
な、その必死さを私は受け取れてなかったんだ
最初の一匹は彼女が昨夜連れて行ってくれたが、後から発見された二匹は今現
在、翌朝だが、まだ連れに来ない。
母が来なかったら低脂肪牛乳を人肌にしてスポイトで与えておいてくれとの息子
からの伝言だ。