水無月のささやき

星野博美著「みんな彗星を見ていた」を友人から貰って、
内容も吟味せずになんとなく読み始めたのだが、
休日だったので、一気に読んでしまった。

よく調べたなあと、読みながら感心していた。
古楽器への関心も、このところばおばぶでもコンサートをやったりと、
気になるところだったし、
キリシタン殉教という、400年前のあの出来事は私の中では、
歴史の一場面として、硬直し、放置してあったのだが、
読後、まさに大転換が生じていた。
彼らの死に様が今の私につながる命としてつながってきたのだ。

四万人の犠牲者。彼らひとりひとりが、その人なりに 命を捧げたにちがいない。
神は彼らに何を語られたかはわからないけど、
その一人ひとりを個別に抱き抱えておられたのではないか、というように
思わざるを得なかった。同じキリシタン殉教を扱った、
遠藤周作の「沈黙」という作品の中での神父には、神はあのように語った、それも
ありかもしれないが、違う殉教者の姿が星野さんの筆で現れてきた。

私的な、と断りがあるので全く構わないとは思うけど。
神父の役割は、告解を聞くことなんだろうか、とちょっと気になった。
当時は違ったのだろうか。
ミサのなかで聖変化した御聖体をいただくことが、信徒にとっては
キリストの体を頂くという最も大事な事、と私は捉えている。
この儀式を継続するためにカトリック教会が存続している、といっても
いいくらいだ。
でもこれは今の時代の価値観かもしれぬ。
当時の神父様方は、ミサをどのようになさっていたんだろうか?
逃げ隠れしなければならない極限状態だったのだから、何でもアリ、かもしれない。
そう、きっと何でもアリだったんだろう。

ハシエント・オルフェンス、という司祭に関する記述はとても
嬉しかった。ドミニコ会という修道会の個性と、
牢獄に捉えられていたそのひとりの個性が見えてきた。
星野さんが彼の生地を訪ねたということも、何かに導かれて、なのだろうか。
村人のハシエントへの愛が、400年後の今も、まだ暖かくあったということもびっくりで、
彼女がそれに新しい火を与え、燃え始めたという、時間をまたぎ空間をまたいでの
出会いに対する感動があった。その村の教会におられたアフリカ人の神父さんも
この物語に新しい方向性を与えるであろう方だった。

殉教という、こんなに世俗の価値観から遠く離れた、それもできれば
直視したくないような事柄について、星野さんが関心を持たれた、というのも不思議なことで、
それが、世界史の中での、当時の列強、スペインとポルトガルの争いと、
カトリック教会内での様々な問題、民族の持つ性癖、個人の運命、そのタイミング、
それらを決して一面的でなく絡め取っての出来事として、
このように鮮やかに著された、星野博美さんの力に感服する。

つまり、ひとつの出来事の裏には
すべてが含まれている、宇宙が含まれている、ということがよくわかるのだ。

星野さま、
カタルーニャとバスクに関してのスペインでの問題性は、言語というジャンルの話では
ないと思われますので、ご再見を。

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