如月のささやき

THE BIG ISSUE 日本版、という雑誌がある。本屋やアマゾンでは売られていない。路上でホームレスの人たちが売っている。私の行動範囲では四ツ谷駅がそのポイントなので、年に数回そこを通るたびに買うことにしている。11月に買ったのが323号で表紙はリンゴ・スターの似顔絵だった。2017年7月7日に77歳の誕生日を迎えた彼へのインタヴューがトップ記事で、我々世代には懐かしいビートルズの一人がまだまだ元気で歌っていることを知る。

次に特集 ”うつ”を抜く が載っていた。いまうつ病の人は20人に一人、この12年間で2.4倍だという。これは日本だけの現象ではない、世界でも増えているらしい。そして二冊の本の紹介がされていた。一冊は「うつヌケ」という漫画本。田中圭一さんという作者は精華大学マンガ学部の先生で、ご自分のうつの体験からさらに16人のうつ経験者に取材をして描いたレポートだという。ベストセラーらしい。もう一冊は蟻塚亮二さんという精神科医の書いた「うつ病を体験した精神科医の処方せん」

これらにピピーっと私は反応した。私自身はうつではないと思うのだが(正反対のように見えて、紙一重なのかもしれないが)うつ病であると病名のついた人たちが最近かなり増えている、と身近で感じてはいた。
私のカフェ・ギャラリーばおばぶは ある意味ベテルの家であると思っている。(ベテルの家は北海道は浦河町にある今や世界的に有名な元統合失調症の人たちによる街づくりがされている街のことだ、見学に行ったが、居心地のいいところだった。)元々摂食障害という子供の問題から、親の自助グループの集う場としてスタートしたばおばぶは、十五年ほど経った今は、心療内科に行く人行かない人、普通との境がはっきりしないくらいの人、生き難さを抱えている人、そういう人たちの場ともなっている。

しかしデイケアーの場ではないし、あくまでもカフェ・ギャラリー&窯だから場の空気は大切にしている。結界すらも張られているのではないか、と冗談だろうけど言われているが、個が自由意思で入り、居る場であるのだ。自己開示する必要は全くないし、好きなように何かに参加したり、友人とおしゃべりしたり、ただ黙ってコーヒーを飲んでいるだけでいいところなのだ。この空間はささやかな自然の開放感と此処に集う人々の心の美しさが支えている。

自分でお金を払って漫画本を買うということはひょっとしたら人生で初めてだったかも知れないけど、最近もう一冊友人の描いた劇画も買ったから、人生において新しいジャンルに飛び込んだ71歳かあ・・・と意識するが、「うつヌケ」をパラパラ見てたのだけど、知らないことがかなりあった。まずは本当に勤勉で真面目な人達っているんですねえ・・・からだ。仕事にのめり込むことが、そして成果を上げることが美徳のように思われている社会がある、いやいやそれでいいのだけど度が過ぎるというところかな、こういう病に陥る人たちは。私は学生の身分から大人の社会に参加する岐路にあたって、まず、まともな道はやめよう、とどこかで決めていたからそういう目に遭わないで済んだのだ。他の辛い目にはあっているけど、それはそれで冒険物語だから、うつ病へ至る道とは遠いいようだ。それから、幼い時の体験がトラウマになって、というパターンは他の心療内科系でも言われていて、諸悪の根源みたいだから、新しくはないが、やはりうつでもそうなのか・・・です。

ヌケるきっかけとか、方法とかはそれぞれの人生があるように微妙にそれぞれですね。
ひとつね、朝起きぬけに、自分が大好きだと唱える、というのがあったのだけど、その説明が面白かった。朝一というのはやはり日の出を拝んだり、瞑想や祈りをしたり、ゆっくりと心身を整えるために使うのは、どんな宗教でも、自己開発セミナーでも言われているようなんだけど、ここでもやはり朝で、その説明は・・・夜の意識と昼の意識がまだはっきり別れてない時に、夜の潜在意識の中へ言葉をすべり込ませる・・・というもの。
簡単なのでやってみることにした。しかし自分大好きは私はもういいので、他のプラスのメッセージを唱えるのだけど・・・それは内緒。

しかしねえ、うつになるって、すごくまともな神経ではないのかしら?こんなにへんてこな世の中だもの。
世界を見れば戦争が絶えないし、政治の悪さは絶望的だし、癒しであるべき大自然は汚染、劣化の一路だし、安らぎの港であるべき家庭はどうなの?こんな劣悪な環境の中で人はどうやって幸せでいられるんだろうか?いろいろなごまかし方にまみれているのではないか?・・・ムムー、私は?ムムー・・・私のごまかしは宗教か???精神の免疫力、という言葉が今浮かんだけど、うつヌケの方法にも見えるけど、人って切ないほど健気だと思う。いろいろな道で誠実な心をもってしっかりと歩いている人がいますねえ。うつという真っ黒クロスケの妖怪と対抗すべく、道もたくさんあって、皆ささやかだけど、いつかは皆が幸せになるだろうって希望を持って、信じている、と思うのですが。

カフェギャラリー&窯ばおばぶ オーナー
堀越信代 

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