弥生の書き散らし

「ある葬儀屋の告白」キャレブ・ワイルド著 を読んで

葬儀屋としての日常の業務を語りながら、彼の出会う一つ一つの死によって得た、彼自身の内的成長の記録の本である。恐怖におびえていた少年期から、成熟した大人としての精神性を獲得するまでの経過が目の前に繰り広げられてゆく。引き込まれるように読んだ、そして、最後に彼は私にお説教をしたのだ。まずは彼の言葉をピックアップしてみる。

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1.死は確かにあなたが想像している程度には、つらく、厳しいものだ。だが今まで私たちが聞かされてきた物語は、その一部にしか過ぎないということだ。死は泥みたいなものだ。どろどろして、汚くて、その中を歩くのは容易ではない。だが驚くべきことに、泥には必須の成分が含まれており、蒔いたタネが芽を出すのを助けてくれる。

2. 死のDNAに含まれているのは、闘いと弾力の美であり、これが最後には目くるめく光を放つのだ。

3. 死の中に、一方では苦痛の極地を見出し、他方では高潔な美の極致を見出す。このぎりぎりの緊張状態において、死のネガティヴなイメージに抵抗し、良い死のイメージと死の霊性を受け入れることもできる。
  死のポシティヴなイメージを選んだ時、私の物語、私と死の関係は変化し始めた。自分の人生に死を迎え入れる準備ができたのである。

4. 私達は死者について語る。私たちは彼らの姿を思い描く。ついに私はさとった。私の胸の中で、心の中で、生活の中で、彼らはまだ生きている。ある意味で、私は今までずっと彼らに与えられたからこそ、生きていけるし、いかにいきるべきかを発見できるのだ。彼らが生きていたときに私を必要としていたのと同じぐらい、今、私は彼らを必要としている。彼らは私に、私は何者なのか、私はどこへ行くのか、私は何者に仕えているのかについて、いまなお語り掛けている。(ヘンリー・ナウエン)

5. 死がもたらすのは確実性ではなく、沈黙だ。死はしばしば、生と死の間の境界域をもたらす。そこでは生と死がまじりあい、反発することなく、時には調和的なエコシステムの中で共存する。

6.愛する人を能動的に思い出すように遺族を促し、気楽さという神聖な技術を用いて、みんなで死について語り合えるような空間を作り出したかった。

7.私達の知っている最も美しい人々は、敗北、苦しみ、葛藤、喪失を知り、どん底から這い上がる道を見出した人々だ。そうした人々は感謝の念、感受性、生の理解をもっていて、それが彼らを共感とやさしさと深い愛情で満たしている。美しい人々は自然発生するわけではないのだ。(エリザベス・キュプラ―・ロス)

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 ペンシルバニアのパークスバーグという街での小さな葬儀屋の扱う様々な「死」のエピソード、これはアメリカ小都市の丸裸のドラマでもある、ハラハラドキドキで読ませるし、合間に書かれている彼の内省文が 味わい深く、鋭くて面白いのだ。

日本の昨年の夏は天体の狂い?と言わんばかりの猛暑で私の周りでは私を含めて多くの人が体調を崩していた。そしてこの寒さの冬にやはり周りで訃報を聞くことが増えてきた。年齢もそのへんなのだが、死について語ることも増えてきたし、関心も大いにある。この本の帯に書かれた、・・・葬儀屋がつづる感動と再生の物語・・・米TIME誌が「必読の書」と絶賛!・・・であるが、

しかしである、びっくりしたのは、この葬儀屋さんが私にお説教をしたのだ!
先月からクイーンにはまっている私としてはかなりワイルドに自分の原型に戻ろうとしていた。振り子がビーンと右に振れていた。今までの世間との付き合いで身についてしまった垢を落とそうとしていた、猫なで声での優しさごっこなんてまっぴらだ!と自分に正直に、とかけ声をかけ、今まで我慢をしてたある人の悪口を言い出したのだ。かなりの強さで周りの人達に吐き続けた。ふっと黙った時、あのキャレブさんが言ったのだ、「のぶ代さん、彼を愛しなさい」ええ~っ?私はびっくりした。彼だ、とわかったのだ、そう頭のなかで聞こえたのだ。それで憑きもののようだった悪口三昧が終わった。振り子が左に振れ、静かに真ん中に戻ってきた。もう言いたくなくなった。でも彼に言った、「彼を愛するのはちょっときついから、まず普通に接するでいいでしょ?」と。
その後、私はクイーンが愛を、ひたすら愛を歌い上げていると気がついた。

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