6月5日

よく眠れなかった。モーリタニアから来たという中国人のおじさんが荷物をいじる音、マリアのいびき、たぶん昨日の歩きすぎもある。頭痛で目が覚める。最悪のラストデイだ。雨の中をゆっくりと歩く。マリアは私と一緒にサンティアゴに入りたいからとゆっくり歩いてくれる。最後の力をふりしぼるようにして雨の中を一歩一歩ゆく。

着いた、サンティアゴだ。すごくうれしい! ほんとうにうれしい!!!

カテドラルに行く前に巡礼事務所に登録をしなければ。メアリーがもう済ませていて、私を人ごみの中で見つけ到着の喜びの抱擁をし、二階へ行くのよ、と教えてくれた。終了証をもらう。達成感とお祭り気分の軽い興奮状態、会う人全てと喜びをわかちあう。

マリアはアルベルゲを探すと言ってるが 私は巡礼が済んでまで大部屋なんかもううんざりなのでホテルかペンシオンにしようと思ったが安いところは簡単には見つからなかった。しかし高いところも満杯だったりでともかく観光地なのだ、ここは。安いが少し中心部から離れた屋根裏部屋のホテルに決めてからだったので、カテドラルの12時のミサにはぎりぎりになってしまった。

五百人程は入るだろうか、十字型の聖堂で真ん中が祭壇。満席。立っている人も沢山いる。私はどんどん中を歩いて座れる場を探したがない。結局前の方の石柱の台に割り込んで座った。スペイン軍隊の音楽隊が目の前に入っている。三人の司祭によるミサが始まる。司祭が今日到着した巡礼者を読み上げてくれる。マドリッドからの4人とか、ドイツからのふたりとかそれぞれを。耳を凝らして注意をしていた。そして聞こえた。una japonesa(ウナ ハポネサ)、「一人の日本女性」だ。なんとうれしかったこと。このミサは私達のための、巡礼者のための、私自身のためのミサなのだ。大きな香炉がグーン、グーンと揺れて目の前にくる。

マリアがこの人ごみの中すぐ後ろに座っていたらしい。何故この人と出会うのだろうか、と思う。マリアも待ち合わせた人とは出会えずに、どういうわけか私と出会う、と言った。