ヴィラ・フランカまでわりと早く着いた。ここから山に登るバスに乗れる。しかし14時45分まで待たねばならぬ。その辛抱ができなくて次の村まで行くことにした。日本人の女の人に出会った。『同行二人の菅笠』をかぶっていたので日本人だろうと思って声をかけた。去年途中までしか歩けなかったから今年は最後までと一人で歩いている。自然が好きだからという理由。四国のお遍路も歩いたという京都の英子さん。
小さな村ペレへの素敵なアルベルゲ。家も、家具も、庭も、管理も全てゆったりとしている。英子さんはお向かいのベッドでのんびりしている。さっさと食事を済ませてしまったらしい。
私は冗談好きのドイツ人のおじさんとおしゃべりしたり、雨が降ってきてあわてて洗濯物をいれ有料の乾燥機に一緒に入れたり、英子さんから果物をいただいておやつをしたりで気分が遊んでいた。
デートのように彼と二人で食事に行った。日本人と一緒に食事ができるチャンスなんてあまりないから聞きたいことがある、と例えば日本人のクラッシック音楽の演奏なんだけどヨーロッパの俺達の音楽を何故君達があのようなレベルで弾けるのか?という話から日本の教育、歴史について説明を始めかなりいろいろな話題に広がっていった。原子力発電の仕事にかかわっている人らしい。体調を整えるために一週間に一度ぐらいはホテルを取っているらしい。スポーツとして歩いている、と。話し込むのが楽しかった。
大きな木が目立つようになって林道を歩くのが気持ちよい。ヴェガ・デ・ヴァルカルセまで来てしまった。
バスに関する認識が甘すぎた。
*そもそもバスはカミーノを歩く人のためのものではない!
*一日に一本!
*日曜日はだめよ!
案内書にバスのしるしがあるからといってそれだけで安心していた私のいい加減さ。
もう身体の限度までいくなんて事は避けたいので高い山は登らずにバスで行こうと思っていた。しかしかなり奥の方まで歩いてきてしまったので上に登るバスはここからは出ていないのだ。ここを通っているバスは山を大回りして向こう側に行くものだけ。それも一日に一本、夕方5時のみ。日曜日はだめよ!で今日はたまたま日曜日…
アルベルゲを二つ覗いたが、薄汚さと切なさで決められない。バールに入りなにをするともなくそこにいる地元のおじさんに聞いたら、ペンションがあると。川のほとりでこぎれいだったのでそれにした。風呂と独り寝の幸せを選んだ。
村の真ん中にある小さな教会で日曜日のミサに出た。歌が多かった。巡礼者にもプリントを渡してくれたので一緒に歌った。若い人、子供が多いと感じた。沢山の木彫りの像が飾ってある。スペイン人は像が好きらしい。