5月6日

ヒデの友人が次の村でアルベルゲをやっている、すごくいいところでいい人だから寄るといい、といわれ案内書にも魅惑的に書かれていたのでたった9km先で早い時間に着いてしまったのだけどそこに決めた。サン・ニコラウスという家。イタリア人のリノがちょうど鍵を開けに出てきたところだった。ダンディーとも言える、しかもにこやかな静かな人。十三世紀の救護院の建物を使っている。ひんやりとした内部は天井が高く教会のよう。どっしりとした木製の家具、中世の世界そのままのよう。リノの美意識を感じる。

巡礼路の淵に建っているのに回りは広々と緑のみ。洗濯物は裏庭の木々の間に張られたロープに干す。カッコーの声を聞きながら遠くの森と空行く雲を眺めベンチで過ごす。医者のところで出会ったスチュワーデスだというアメリカ人、韓国からのシュタイナー学校のグループの一人である十四歳のパウドアン君、歩いてる日本人に初めて出会う、信太郎君、彼らとのおしゃべりで午後の時間が過ぎてゆく。

シュタイナー学校の子供達は中学生で15人ほどが次から次へと到着してきた。歩く時は各々のペースでばらばらで最後に先生が3人到着。お父さんの参加も二人ほど。お父さん達は飛行場のある大きな街から数日一緒に歩いてかえってゆくらしい。子供達は35日間で歩き通すつもりらしい。終わったらパリで休暇を楽しむと。 14歳といえしっかりしていて、日本語を勉強したいからと私と話をする。分からなくなると英語で話す。大人のようにきちんと会話を楽しませてくれた。中学生が一人で歩いていても安全な道であると、彼らは言っていた。そう思う。若い女の子が一人で歩いていてもこの道では何の危険性もないであろうとおもう。

夕食はみんなでイタリア風にスープとサラダを作り、チーズ、サラミ、パンで家族のように大テーブルでろうそくの光でいただいた。おいしかった。夕食前に昔祭壇だったところに集まり、洗足式が行われた。昔の巡礼者が足を洗ってもらったように、円座に座った私達の足をリノが水で濡らし拭いて祈りの言葉を唱えてくれた。キリストが最後の晩餐の前に弟子達の足を洗ったこととつながっている。