4月28日

前のほうに犬を連れた若い女の子が一人で歩いていた。何かを落とした。声が届かないのでそこに着いた時に拾って(赤い毛糸のぼんぼん)後を追った。しばらくして気がついたらしく立ち止まって後ろを振り向いた。

やっとスポーツウエアでない人に会えた。幅広のぴらぴらズボンで真っ赤なスパッツをみせカラフルな麦藁帽子とざっくりしたカーデガン。金髪をなびかせて。自分のファッションが楽しそう。ほとんどの人はスリーパーツに別れるズボンでスポーツウエアそのものという味気なさなので。

彼女はスイス人だった。それもチューリッヒの出だったので話は弾んだ。昔チューリッヒに6年程住んだことがある。我が青春時代なのだ。タマラ、という名は珍しい。お母さんはユーゴスラビアの人だと。犬はリュネ。フランスのトゥールーズからもう一ヶ月以上も歩いていると言う。フランス国内は道の経験者の彼氏が一緒に歩いてくれたけど今は犬と二人、犬は日差しに弱いので曇りの日に余計に歩く。赤いボンボンは友達からのプレゼントで大切なもの。その友は私が昔住んでいた町の住人だ。私がこの旅の最後に訪れようと思っているウルスラの村の近くに、彼女のお父さんは別荘を持っているとか。チューリッヒに近いスイスアルプスだ。