如月の書き散らし

大評判だと聞くとかえってそっぽを向くひねくれ者だけど、今回は行ってみようかな、という気になったのは、その映画を見ての友人たちの反応だった。ええ~この人がもう三回も見たの?ええ~この人が心も体も揺すぶられたの? 封切から2ヶ月はたって、幅広い年齢層、いろいろの傾向の人々が感動してるのだ。

「ボヘミアンラプソディ」という映画だ。ロックバンド、クイーンのヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生き様がそこにあった。

大晦日に「椿姫」というソフィア・コッポラ監督の映画を見た時は、最後のカーテンコールで思わず拍手をしてしまった、たった一人だったけど、今回の映画ではすぐさまそういう気にはなってはいなかった、にも関わらず、帰り道からじわじわ、ひと晩寝てどんと、そのシャッフルが来た。ケモノーズ(ばおばぶ仲間で直感人をそういう)の原点だ、としみじみと共感したのだった。

あの頃、クイーンが活躍した当時にはロックには全く関心がなかった、全く知らなかったその世界に今初めて触れたわけで、どちらかというと歌詞に感動している私がいる。歌詞ではなくて音、メロディに反応したのが初来日した当時の日本のファンたちだと聞いた。日本でヒットすると世界でヒットするとかいうジンクスもあるらしいが、日本人にとって歌詞は英語だからピンとはこないのだろうけど、だから音に敏感なんだろう。私のように映画で見るのが初めてだと、歌詞が字幕できちんと入ってくる、その背景のドラマも少しは理解できる、という入門の仕方だったわけだから、言葉から入れたのだ。私は言葉の人なのでかえって良かった。

ともかくも、フレディ・マーキュリーの生き様はカンフル剤であった。老齢期最後の細道をなんとなくわかったようにまとめて、とぼとぼと行こうとしてた矢先なんだけど、まだだよー、もう一度シャッフルしようよ、自分のど真ん中に何があるか探りなおそうよ、という気にさせてくれたのだ。感謝。

映画では出てこなかった沢山の歌が You Tube で聞ける。 Thank God it’s Christmasはいつか歌ってみたい。ソプラノ歌手とのデュエットもいいし、マイケルジャクソンと一緒に歌ってたThere must be more to life than this, あるいは I was born to love、Love kills など、好きだ。ビートルズがLoveを歌う、というが、Queen の Love のほうが少し深いかも。しかし、人が歌うのは、いつでもどこでも Love なのか。そうか、人が歌いあげたいのは、いつも Love なのか。 Loveの裏返しとか、あるいは Love ? 人って Love に絡まれている存在なのかも。 もちろん、Love とは色恋、エロスの世界だけに関わるものではないことぐらい承知しているからこそ、透けて見えるその先があるからこそ、美しいのだ。

「70の齢を重ねた今、ロックに目覚めたのかあ、次に来たら、革ジャンでも着てるんじゃないの」と、息子たちにからかわれている。